文明法則史学の課題
これまで示してきたように、文明法則史学は確立途上の歴史学であり、今後、次のような課題 1~7 に挑んでいかねばならない。
- SSが未研究の地域・時代への研究着手
- 中米~南米系統 (マヤ文明、アステカ文明、インカ文明等はほとんど手つかず)
- ヨーロッパ系統 (エーゲ海文明以前、ビザンティン帝国など)
- 古代エジプト系統
- 西アジア系統 (アケメネス朝ペルシャ以前)
- インド=東南アジア系統 (ほとんど手つかず)
- 既知のSSの再検討
- SSとCCとの関係の解明
- SS細部の追研究
- 他の文明論との比較考察
- SSの秩序形成原理の解明
- 自然と人類史との相互関連
次の地域(CC系統)・時代のSSは今のところ研究の目途が立っていない。
村山・林による研究と最近の研究とでは、指標点の選定基準など、必ずしも統一されていない。過去に発表されたSSについて、それらの実在性実証プロセスの明示も含めて、最近の研究との整合性を高めていく必要がある。
SSの示す性格上の相違・類型からCCの存在を立証する研究については、未だ十分に進んでいるとは言い難い。その理由としては、第一にSSの解明が進んでいない地域・時代がかなり残っている影響を、第二に細部の解明を終えたSSでもCCとの関連については追究していない点を、それぞれ指摘することができる。そのため、今後、未知のSSの解明と平行してCCとSSとの関係を解明していく必要がある。
既知のSSは、最近の成果も含め、SSの実在が認定されうる線で研究を止めている。したがって、多方面において「SSの展開と○○の盛衰との関係」というような切り口で細部の研究が成立しうる。こうした細部の追研究は、様々な分野の専門家が参画しうる「SSの肉づけ的研究」として重要である。
他の文明論(例:トインビー「歴史の研究」)や伝統的な社会科学と比較し、その内容や方法論においての類似性や相違性を整理していく必要がある。
文明法則史学は、これまで研究範囲をSSの秩序形成様式(どのような盛衰パターンがみられるか)の解明に限定してきた。しかし究極的には、SSの秩序形成原理(何故そうした盛衰パターンを示すのか)の解明に向かうことが望まれる。この方面は、自然科学系の研究者と連携した研究が不可欠である。
文明法則史学では文明現象が自然現象の側面をもつと認識しているので、もし「人類史が自然(素粒子…地球,宇宙)との相互作用の上に営まれてきた」とする仮説があれば、当然これを支持する。したがって、こうした相互作用の解明にも取り組んでいくことが望まれよう。
