文明法則史学 [文明800年周期説] は、人類の文明史すべてを研究対象とし、古今東西の歴史が示す盛衰パターンの共通性を明らかにしようとする歴史学です

文明法則史学とは

1-1. 文明法則史学の目的・対象

文明法則史学とは、人類の文明史すべてを研究対象とし、古今東西の歴史が示す盛衰パターンの共通性を明らかにしようとする歴史学である。

1-2. 文明法則史学のエッセンス

日本の文明研究家 村山 節 (むらやま・みさお;1911年~2002年)は、目盛間隔を一定にとった世界史年表を作成する過程で、様々な地域・ 時代の歴史に共通する二層の盛衰パターンを発見した(1937年頃)。文明法則史学はこの村山の発見に始まる。

1-2-1. 上部構造 = CC (Civilization Cycle;文明サイクル)

上部構造 = CC(Civilization Cycle 文明サイクル)

1) 文明史には1600年の盛衰周期が存在する。

  • 文明法則史学ではこの盛衰周期をCC (=Civilization Cycle;文明サイクル) と呼び、波形を用いて表現する。
  • CCを表す波形は各期の位相を示す目的で描くものであり、ある点の縦座標や線の傾きには物理的な意味は含まれない。

2) CCの1600年は800年の準備期(低調期)と800年の文明期(高調期)とに大別でき、両者は文明創造力や社会の活力において大きな差をもつ。

  • 文明法則史学では前者をα期、後者をβ期と呼んでいる。

3) CCは1600年を周期として準備→開花→成熟→崩壊の過程を繰り返し、CCに対する位相と文明現象との間には関連性が認められる。すなわち、文明はあたかも1600年周期の四季をもつように振る舞う。

  • α期からβ期へと連なる1600年で一つのCCをなしている。
  • α期前半には武力政権や暗黒社会が現れやすい。
  • α期後半には文明準備現象がみられる。(次のβ期の主役を担う民族形成など)
  • β期前半頃には芸術・学術の開花(ルネッサンス現象)がみられる。
  • β期の中頃には爆発的な対外進出が現れやすい。
  • β期後半には該当CCにおいて最高度に発達した文明が出現する。
  • β期末期から次のα期初頭にかけては文明破壊を伴う民族大移動が現れやすい。

4) CCは東西二系統に大別される二極構造をもち、両系統は互いに逆位相の関係にある。
CCは東西二系統に大別される二極構造をもち、両系統は互いに逆位相の関係にある

西の文明 古代エジプト系統・ヨーロッパ系統
東の文明 西アジア系統・インド系統・中国系統・日本系統 など
  • 東西のCCのうち一方がα期からβ期へ移行する時期 と 他方がβ期からα期へ移行する時期は一致している。文明法則史学ではこの移行期を文明交代期と呼んでいる。
  • 世界史は800年毎に文明交代期を迎えている。

5) 過去の周期性がそのまま再現されると、21世紀は西の文明が崩壊し、代わって東の文明が夜明けを迎える文明交代期となる。

1-2-2. 下部構造 = SS (Social System;社会秩序)

1) 文明を創造した地域・時代の歴史の多くに、CCの下部構造として、個人の一生と極めて類似した展開パターンをもつ、平均寿命数世紀の盛衰が認められる。すなわち、この盛衰は社会のエージング(aging;老化)を反映している。(例:欧州の「ローマ時代」,日本の「大化改新~平安末期」など)

  • 文明法則史学ではこの下部構造をSS (=Social System;社会秩序) と呼んでいる。
  • 下部構造をSS(Social System 社会秩序)

  • 1つのCCには、SSによる小さな盛衰が概ね4回(3~5回)現れる。
  • あるSSの崩壊後、より細かなSSが並んで登場する場合もある。(→ヨーロッパ)
  • SSの寿命には地域や時代によってかなりの個性がある。
  • SSと次のSSの間には、過渡期のある場合が多い。
  • 文明法則史学では、SSを大きく「興隆期」「高原期」「衰退期」の3つの時期に分けて捉え、それぞれ「右上がり」「水平」「右下がり」の線で表現する。
  • SSの三期区分を示す直線の縦座標や傾きには物理的な意味は含まれない。
  • SSの各期を区分するために指標点(a~g点、p点)を設ける。
  • 指標点 定義 および 発現例
    a点 SSが誕生・成立し、骨格形成を始める時点。
    国家統一の求心力確立、建設革命、維新など。
    b点 SSが肉体的大成長期に移行する興隆加速点。
    困難があっても「雨降って地固まる」の様相。
    c点 SSが興隆期から高原期に移行する時点。
    SSの骨格・肉体的成長の完成をみる。版図の拡大停止など。
    d点 SS高原期の中点。
    高原期を質的に二分する事跡、一時的な厄年的混乱などの形で現れる。
    この頃、後継SSが’懐妊’し、SSの中で発育を始める(=p点)。
    e点 SSが高原期から衰退期に移行する時点。
    偉大な指導者の死、地方における反乱多発など。
    f点 SSの衰退加速点。中央政権の支配力失墜、反乱の全国化など。
    「雨降って崖崩れる」の様相。
    g点 SSが崩壊し、死亡を迎える時点。
    破壊革命、敗戦亡国、内乱勃発、中央政権の完全な形骸化など。

  • 各指標点には、各期を区分するのに最適な歴史的事跡を選定して充てる。そのため、前後5年程度の誤差を含む場合がある。
  • 各SSで発現した文化のうち、とくに社会心理のエージングを反映した文化を次の4つの文化型に分類する。
  • 文化型 社会心理 性格や内容の例
    A型文化 少年型 素朴、清新、豪放な心理。叙事詩、美術、古典復活など。
    B型文化 青年型 情熱、ロマン、恋愛の心理。叙情詩など。
    C型文化 壮年型 栄華の心理。散文、演劇など。
    D型文化 老年型 思索の心理。思想・哲学・宗教・科学など。

  • A~D型文化の発現はSSのエージングを示す際に重要な根拠となる。
  • SS興隆期と現世肯定的社会心理、SS衰退期と現世否定的社会心理が対応する。
  • α期のSSでは、A~D型文化の発現が弱い場合が多い。

2) CCにおいてSSの占める位置が該当SSの性格に大きな影響を与える。すなわち、CCの特性がSSに反映される。

  • 文明法則史学ではSSをCC上の位置によって次の4つの型に分類している。
  • 特徴
    No.1型SS
    No.2型SS 開明的SS
    No.3型SS 青春的・芸術的SS
    No.4型SS 熟成的SS